数独の候補数字の使い方
いつ書き始めるか、紙では全部書かないほうがいい理由、候補を信用できる状態に保つ唯一の規則、そしてアプリが事務を引き受けると何が変わるか。
候補数字——メモ、鉛筆書き、呼び方はいろいろですが——は、そのマスにまだ何が入りうるかを空マスに小さく書いておくものです。入門より上のすべての手筋は、これが手元にある前提で組み立てられています。
そして、対局を台無しにする習慣としても第一位です。理由はいつも同じ。十手前には正しく、いまは正しくない候補数字は、候補が何も書かれていない状態より悪い。ただ見づらいのではなく、これから推論の材料にする「嘘」だからです。
早く書きすぎない
つい、始めにすべての空マスへ候補を書き込んでから考えたくなります。開けたばかりの盤面ではこれは悪手です。そのうち半分は単純な走査でこれから埋まりますし、一マス埋まるたびに最大二十マスの候補を直しに行くはめになります。
まずは安い手筋を回します。単数候補、隠れ単数、指差し、囲い込み——どれも置かれた数字だけで判断できます——で埋まるものを埋め切る。それ以上何も出なくなってから候補を書き始めれば、盤面は小さくなっていて、書いたものも安定します。
マスごとではなく数字ごとに
書き始めるとき、多くの人はマス単位でやります。空マスを一つ選び、入りうる数字を全部考えて書き、次のマスへ。丁寧ですが疲れますし、見落としも出やすい。
数字単位のほうが速く、間違いも減ります。まず数字の 1 だけを担当して盤面を一周し、1 が入りうるマスすべてに 1 を書く。次は 2。頭のなかで抱えるルールが九つではなく一つで済みます。盤面を九周するほうが、マスを五十回考え込むより安上がりです。
おまけもあります。一つの数字だけを見て走査していると、隠れ単数、指差し、さらには X-Wing までがほぼ無料で目に入ります。どれも「一つの数字だけの形」で、いままさに目には一つの数字しか入っていないからです。
紙なら、部分的に書く
全部書くのは、すべての空マスにすべての候補を書くやり方。部分的に書くのは、本当に要るものだけを書くやり方です。紙の上ではたいてい後者が有利で、多くの人が行き着く形は「候補がちょうど二つのマスだけ書く」です。
二候補マスは中盤の手筋の原料です。裸のペアはそれでできていますし、XY-Wing に至ってはそれしか使いません。二候補マスだけ書かれた盤面はひと目で読めて、しかもこれから使う情報の大半をすでに持っています。
代償として、隠れペアと隠れ単数は見えなくなります。どちらも「その数字が単位のなかでどこへ行けるか」に依存するからです。部分的に書いた盤面が止まったら、そこが きちんと書き込むタイミングです。ただし盤面全体ではなく、いま見ている単位一つだけで十分です。
手入れの規則はひとつだけ
マスに数字を確定させたら、その瞬間に、同じ行・列・ブロックにあるすべてのマスからその数字の候補を消す。二十マス分あり、後回しにせず確定と同時にやることが条件です。
古い候補による事故は、これを一度飛ばしたところから始まります。厄介なのは、その場では何も起きないことです。本来存在してはいけない候補の上に、見た目は完璧な推論を十手積み、矛盾がようやく出てきたときには原因から遠く離れていて、たどり直す手がかりもない。たいていは最初からやり直しになります。
紙でこの消し込みが嫌なら、それは部分的に書くことを支持する強い理由です。書く量が少なければ、古くなりうるものも少ない。
スマホでは何が変わるか
この問題の事務にあたる半分は、まさにソフトウェアが引き受けるべきところで、Sudoku - Calm Number Puzzle でもそうなっています。候補数字は内部では1マスあたり9ビットのマスクなので、どんな組み合わせでも余計な管理が要りません。自動入力は盤面全体の正しい候補を一度に書き込みます。そして数字を確定させると、同じ行・列・ブロックのマスからその候補が自動で消えます。さきほどの規則が、覚えていなくても適用されるわけです。
取り消しは候補数字も一緒に戻します。連動して消えた周辺マスの候補も含めて戻るので、一手戻したあとに盤面と食い違った候補が残ることはありません。
ただし考えてはくれません。自動入力された候補が教えるのは「何が合法か」であって、「目の前にどの形があるか」ではありません。手筋は自分で回す必要があります。アプリが取り除いたのは、紙の数独でいちばん事務作業らしい部分であり、紙の愛好家が実際に対局を落とす部分です。
そのまま使える手順
- 候補を一つも書かずに、置ける数字が尽きるまで走査する。
- 指差しと囲い込みを回す。これも候補数字は要らない。
- ここで書き始める。数字ごとに走査し、全部書くか二候補マスだけにするかは好みで。
- 一手確定させたら、まず二十マスの周辺からその候補を消す。ほかのことはそのあと。
- 止まったら、盤面全体ではなく、いま見ている単位だけ候補を完全に書き出す。
よくある質問
すべてのマスにすべての候補を書くべきですか
スマホでは書いて構いません。自動入力はコストがかからず、勝手に正しさを保ちます。紙ではたいてい勧めません。書く量も消す量も多く、多くの人は候補がちょうど二つのマスだけ書き、行き詰まったときに一つの単位だけ完全に書き出すやり方に落ち着きます。
いつ候補数字を書き始めればいいですか
走査で置ける数字が尽きてからです。開けたばかりの盤面に書くのは、これから確定するマスの記録を作って、あとから直して回るのと同じです。
候補どおりに進めたのに矛盾するのはなぜですか
ほぼ古い候補です。数字を置いたのに周辺のマスから消していなかった、という形。まれに、三候補のマスを裸のペアの片割れとして扱うような誤用が原因のこともあります。どちらも原因から遠い場所で矛盾が出ます。
候補数字を使うのはズルですか
違います。自分がすでに行った推論の記録であって、問題の外から持ち込んだ情報ではありません。入門より上の手筋はどれも、これがある前提で設計されています。
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